差異のなくなった雪の街

15.差異のなくなった雪の街

突然、焼きマシュマロが食べたくなったので、何年かぶりにマシュマロを買う。だけど自分の部屋にはガス台がないから、ついでにカセットコンロとガスも買っていく。これで今後熱燗もできるかしら、なんて思うけど、熱燗をしようと思ったら徳利を買わないといけない。ついでにお猪口もないといけないし、せっかくだから何かおつまみになるものも必要になる。どんどん余計な出費が増えるので、熱燗はやめよう。

ついに街に雪が降った。この前まで半袖で過ごせるような暖かさだったのに、季節の巡りが異様に早い。まさに光陰矢の如し、といった具合で。あるいは、自分がずっとボーっとしてただけだろうか? 冬は嫌いだ。一面真っ白な風景は、変化も差異も反復もなくてどんどん憂鬱になってくる。この風景が好きだって人もいるそうだけれど、自分にはその心理がわからない。あと、冬に外で寝ると間違いなく死んじゃうから恐ろしい。

いつものように悪い方向へ考えこんでしまいそうになったので、まあせっかくだしと、雪化粧した街を歩くことにする。木で生い茂っていたはずの街並みに、緑がまったくない。自分も含めて、すべてが枯れ果ててしまったような気分になってくる。かろうじて電飾だらけの地下に逃げ込んだけど、やっぱり散歩は失敗だったな、と思う。ただ、あのまま部屋にいても暗くなってくだけだったし、体を動かしてるだけマシってものだ。

部屋に戻ると気疲れしたのかぐっすりと寝てしまい、溶ける夢を見た。指から、つま先から、だんだんと液体になっていく。苦しくはなく、身体がどこまでも引き伸ばされていくような、独特な感覚で広がりを持っていく。下水に流れ込んだあたりで、いつも寝るような時間にスッキリと目覚めてしまった。寝汗をたっぷりとかいて。あのまま夢から覚めずに海に溶け込んで、アボガドロ数のぎりぎりまで薄まって、世界そのものになれたら、きっと少しは楽しくなってたはずなのだけれど。