あいまいな空の下

22.あいまいな空の下

食事をとるのも億劫になってきて、食べたり食べなかったりの日が続いてる。何か口に入れたとしても、近所のお店に夜の10時頃行って、特売の30円くらいになったパンを1つ買って食べて眠る、と言った感じ。体重計を持ってないからわからないけれども、とても痩せた気がする。普通の人なら喜ぶだろうけど、もともと痩せてたし鏡を見るとさらに不健康になったって感じだ。お酒も飲んでないのでとてもエネルギーが足りないような気がするから、今日はきちんと何か食べるか、ワインでも飲もうと思う。

とりあえず不健康にもほどがあるのでベッドから起き上がる。今日はほとんど一日を本を読んで過ごしていた。さっぱり動いていないからエコノミークラス症候群になるかもしれない。読んでいたのはウィリアム・バロウズのソフトマシーンとブコウスキーの勝手に生きろ!と筒井康隆の大いなる助走、あと筑摩の日本文学全集の柳田国男集。全部枕元にあったから読んでただけで、特に意味はない。

運動にもならないかもしれないけれど、ゆっくりと散歩をする。2時間くらい歩いて、ブーツのかかとをなんとなく気にしながら電車に乗って帰る。自分は公共の交通機関に乗っている時はいつも本を読んでいる。ただ今日は1冊もポケットに入れていなかったので、周りを眺めてみた。皆うつむいている。誰も彼もが携帯電話を見て、同じ表情で。一斉に顔を見上げてこっちを見たら、皆同じ顔をしているかもしれない。なかなかにディストピア的な光景に見えて面白い。

自分の部屋から2駅前で降りて、ぶらぶら歩く。途中で見つけた酒屋で赤ワインを買って少し飲む。久々にお酒を飲むと、喉や胃がぐっと熱くなる。次第に血とともにアルコールがまわり始めて、素面でいるよりはちょっぴりいい気分になる。ただ、それくらいのもので、酔うことと酔わないことに大きな差は無い。気分的な問題だ。その気分というものに、自分は振り回されているんだけれども。そんなふうにしながら橋を渡る前に、なんとなく川を眺める。雪だらけで汚いのでかわりに空を眺めると、少し陽が差しているけれど、看板だとか色んなものに遮られている。まあ、そんなものだろうな、とまたぶらぶら歩きはじめた。
sage