ペッタンペッタンと大盤のマグネットを動かしながら、
「と来まして、綺麗な角換わりですね」
「ですね。飛車先保留して腰掛け銀とかの方が一般的なんですが、まあ島津七段ですから」
「やはり棒銀で。得意戦術というか、それだけ自信があるということですかね」
「初めからこれを指すと決めておけば、その分迷う事もなくなりますからね。逆を言えば選択肢があると迷って指せなくなる性格っていうか、不器用なんでしょう」
「なるほど。それぞれの棋士の得意戦法を見ると、何となくその人の性格まで見えてくるような、そんな感じですかね……ちなみに、浅井七段は得意戦法などありますか?」
「自分は勝つのが一番なので、考えたことが無いんですよね。その時指してる戦法が一番楽しいみたいな感じでしょうか……岩手先生は何かありますか?」
「私は石田流ですね、攻めるの大好きなんで……ところで、浅井七段と言えば振り飛車党期待の新人と言われていましたが、近頃は居飛車党に転籍したとも噂されていますね」
「そうですね……勝っても負けてもって言葉は嫌いなんですけど、居飛車で指した時の方が経験値を多く貰える気がするというか、そういう感じで。状況次第では全然振りますが」
 ――後2二銀、先7八金、後3三銀、先3八銀、後6二銀、先2七銀、後7四歩、先2六銀、後1四歩、先1六歩、後7三銀、先1五歩――