「なんですが、ここで先手は8四香車とする手があるんですね。同飛車に6六角と出来るんですよ」
「これはちょっと大変な形ですね。飛車を逃がすと1一角成から右側がボロボロ、2二銀と受ければ飛車がタダ。7三に銀があればこうはならないんですが」
「こんな感じに、将棋の戦法にはそれぞれ相性というものがあるので、お互いの駒がぶつかっていなくても、戦っている人たちは常に牽制し合っているんですね……時代劇の殺陣で間合いをはかっているような場面をイメージして頂ければ良いと思うんですが」
「なるほど、良い喩えです」
「今説明したような流れは極端な変化ですから、プロの実戦ではまず有り得ない形ですし、飛車先保留や手損の角換わりでもまた違ってくるんですけど、初めて将棋に触れる方には、将棋の性質を理解する上で解り易い例だと思います……というまとめ方で、どうですか?」
「素晴らしいと思いますよ。解説も案外肌に合っているんじゃないですか?」
「いえ……もう、当たり前のことしか話せなくて、すみません」