「指しました」
 二階堂に伝えながら、盤上を人さし指で示す。
「おう……よっこいせっと」
 重たげに身体を起こした二階堂は、盤を一瞥すると、皺の濃い顔をゆるめた。
「なるほどねえ」
 意味深なつぶやきだった。対局中であるにも関わらず、相手の表情に意識が向いてしまうほどに。
「どうやら気が合うらしい」
 言い切るや否や、間髪入れず気合いの入った手が伸びる。
 返す響もノータイム。こちらは、さながら定跡形の進行であるかのような、落ち着いた手つき。
 ――先同歩、後同飛、先3五歩、後8五飛、先7七桂、後3五飛――