「で、なんでお前が俺んちに来ることになったんだ」
「仕方ないじゃありませんか。高梨さんに追い出されてしまったんですから」
 どっからどー見てもゴスロリ丸出しの漆黒金髪少女を見て、俺はため息をついた。なんでこんなことに。
「お前なあ。なんでそう見切り発車で現世とか来ちゃうの? めんどくさいとか思わなかったの?」
「そんなこと思うわけないじゃないですか」
 レイシスは怪訝そうな顔で言った。
「だってこの世にはいろんな楽しみがあるじゃないですか。東京タワーもあるし」
「あの電波塔ってそんな価値あったっけ」
「何言ってるんです! 赤いじゃないですか!」
 力説する少女。
「赤いってことは、リーダーってことなんですよ」
「じゃあスカイツリーはサブリーダー?」
「え、青いんですか?」
「きっと青いよ」
 白かった気がする。
 なんとなく俺はどっと疲れて、自宅へ帰った。そういえば自宅の天井と壁がぶっ飛んでた気もするが、寝袋があるからいいや。
 出会いがしらに姉貴と会った。チョコレートバーを口に含みながら、ブラ1パン1でタオルを首にかけて俺を不思議そうに見ている。
「おい紅蓮、服着ろ」
「愛彦、なんだその少女は。レイヤーさんか?」
「そんな知り合いはいねぇ」
 俺はリビングのソファに腰かけて、重たいため息を吐いた。
「おいレイシス、挨拶しろ」
「こんばんは! 私、悪魔です!」
 びしっと片手を挙げて宣誓するレイシス。紅蓮はそれを聞いてフムフムと頷いていた。
「そうか。初めまして。私は美崎紅蓮という、飽くなき真実の探求者だ。よろしく!」
「こちらこそ!」
 よくわからんがウチの姉貴と悪魔が友達になったようだ。
「おい紅蓮」
 俺は姉貴のタオルを引っ張って壁際まで引き寄せた。
「なんだナル、タオル引っ張んな」
「悪魔って聞いてなんともおもわねーのか。アリャおめーが昨日読んだやつだ多分」
「そうか」
「そうか……って。お前、悪魔に会いたかったんじゃないの? だから呼んだんだよね?」
「昨日会ってたら興奮したかもな。だが今日になったらもうどうでもいい。悪魔がいたのは驚きだが、それだけだな」
 澄ました顔で言う紅蓮。おいおい。
「なんだそのいー加減な感じは。お前なあ。いくらなんでも気が変わるの早すぎだぞ」
「なぜだ?」
 紅蓮は不思議そうにしている。
「一応、驚いてはいる。なるほど、ぐらいの気持ちもある。それにあの少女がどんな存在だろうと……ふむ、願いを叶える? 分割払いで? そうか。私には関係ないな」
「おいおい……お前、科学者だろ? なんか知りたいことでも聞けばいいじゃん」
「そんなの面白くない」
 俺は遠いまなざしで、俺たちの様子を部屋の反対側で窺っている少女を見やった。
「なんか似たようなセリフをさっき聞いたなあ」
「何をわけのわからんことを。なあ悪魔。私と一緒にアイスを食べよう」
「わあい、アイス! あかりアイス大好き」
「誰があかりだよ」
 あかりと紅蓮が冷蔵庫のそばでイチャつき始めた。俺は頭痛を覚えたので寝袋に丸まって寝ることにした。
 それにしても、紅蓮からもお払い箱じゃ、本当にあの悪魔、実家に帰れそうな気配ねーな。

 ○

 さて。
 それからというもの、べつに面白おかしい騒動なんて起こらなかった。いやいや待てよお前、天才科学者に金髪悪魔、それに面白おかしいクラスの仲間たちまでいて何も起こらなかったのか、といわれれば、正直に言おう。イエスだ。
 あれから半年が過ぎた。
 驚くなかれ、もう夏休みも終わったし、海にもいったし、肝試しもやったし、文化祭もやった。おおよそ日常アニメで山場と言われるイベントは大体こなしたわけだ。夏服から冬服へ変わり、文理選択も済ませ、せいぜいこれから近づくクリスマスぐらいしか学生っぽいイベントは残ってない。そんな十月初旬だ。
 いきなり人生のレールの上にドスンと悪魔が現れて、なんにも起こらないなんて、さすがに俺もビックリはしている。まァでもそんなものかもしれない。2000年になってからもう14年。時代は進んだ。テレビゲームはオン対戦が洗練されたくらいで、スーファミからプレステへと移行したときのような爆発的な変化なんか全然なかったし、アニメはギアス終わってからパッとしねえし、エロゲは発売延期ばっかり、声優は歌って踊って結婚し、今日も世の高校生は「なんにもねえなあ、俺の人生」と思いながら青空を見上げる。超常現象の塊が降ってきたくらいじゃ、俺たちの人生は変わらないのである。
「どーしたんですか鈴木さん」
 今日も悪魔は俺の家でアイスを食っている。おめーはアンクか。
「浮かない顔をしちゃって。そんなんだから家でじめじめする羽目になるんですよ」
「うるせーばーか」
 言い返す気も起きない。俺はすっかり無礼講になったTシャツにトランクス一枚の格好で、ソファに転がって、天井を見上げている。
 ほんとなんもする気になんない。
 悪魔はそんな俺を、ソファの背もたれに腰かけて見下ろしている。
「おめーいい加減に出てけよ。いつまでいる気だ」
「だって誰もお願いを言ってくれないんですもの。高梨さんは本当にリア充になっちゃったし……」
 しょんぼりする悪魔。人間の幸福を憂鬱そうにしているところは、辛うじて魔物っぽい。
「それにしても長岡さんとくっつくなんて。長岡さんは誰ともくっつかないクラスメイトポジションだと思ってたのに」
「そーだなー」
 俺とつるんでいた高梨は、これまた俺とつるんでいた長岡とめでたくくっついた。それはもう悪魔が手を出す暇もなかった。「お前、俺と付き合わね?」→「いいよ」のコンボで出足見て昇竜ってレベルじゃなかった。影からなにやら怪しげな魔術を行使しようとしていた悪魔は目標をロストして硬直し、俺は友人の旅立ちに頭痛がしてその場で気絶した。目覚めた時、夕闇の中に二人の姿はなく、悪魔が俺の顔をウチワで仰いでいた。
「あれから高梨さん、全然遊びに来ませんね」
「そりゃー彼女がいたら、男友達とは疎遠になるだろ……」
「そんなもんですかねー……」
 どことなく、俺より寂しそうな悪魔。なんでお前がへこんでるねん。
 まァ、高梨の人生は一度しかないわけだし? ちょっと嫉妬しちゃうけど、邪魔するわけにもいかないし。俺はべつにいーんだ。ひとりぼっちでも。
 なんて、考えてたり、たまに悪魔に愚痴ったり。うう。俺、居候の女の子にこんな弱音を吐いてるなんて。情けない。俺は男として情けない。
「どうどう」
 悪魔は俺を真剣な顔で小馬鹿にしている。
「そのうち鈴木さんにもいいことありますよ」
「別宮だって。おまえいつになったら俺の名前を覚えるんだ」
「えー? だって、別宮って言いにくいし。普通だし」
「鈴木のほうがフツーだろ」
 はあ。
 俺はぼーっと天井を見上げる。悪魔はソファの上でアン・アンを読み始める。
「それにしても、本当に今の世の中に『願い』ってないんですねぇ」
 悪魔は読者モデルのなんとかかんとかちゃんを吟味しながら言った。
「鈴木さん、どう思います?」
「しらねー。そういう時代なんじゃん?」
「鈴木さんはリア充になりたくないんですか?」
「魂を支払うほどじゃねー」
「でも、高梨さんに彼女が出来たとき、追っかけて誰か引っ掛ければよかったじゃないですか。ノリで。べつにあたしに頼らなくても」
「うるせー。めんどくせぇんだよ。なんもかも」
「枯れてますねぇ」
「うっせー。ばーか」
 俺はそのまま眠り込んだ。

 ○

 最近、俺はよく夢を見る。
 船の夢だ。
 夜更けの埠頭に、一隻の蒸気船が浮かんでいる。
 俺はなぜかその船に乗って、中に入る。すると中は、思っていたよりも薄暗くて、ぼんやりしている。夕闇時よりもっと暗い。街灯のようにポツンポツンと立っているランプの火明かり以外は、全て闇に溶け込んでいる。人影はあるが、生きているのか死んでいるのか、それも判然としない。
 余っている椅子に、腰かけてみる。
 なんか置物になった気分。
 そうして顔をめぐらせてみると、あの悪魔、金髪に夜装服の少女が、火灯りの交差するところに立って、こちらを見て笑っている。眩く滲むような金髪。濃紺に近い、夕闇色の眼。両手両足には鎖の千切れた枷がかかっている。視線を動かすだけで、その鎖の断片がチャリチャリと鳴った。手袋とブーツは銀色の装飾ベルトで、夜装服に繋がれている。よく見ると彼女は、小鳥でも閉じ込めるような鳥籠の中にいた。しかし、その鳥籠はすぐにバラバラになって崩れてしまう。
 少女は何か言っているが、俺には何も聞こえない。
 何も……
 そこでいつも、眼が覚める。

 ○

「夢診断してあげましょうか?」
 つい口を滑らせて夢の話をすると、悪魔は笑ってそう言った。朝食のスープに突っ込んだスプーンを引き抜いて、俺に向かってチラチラ振る。
「あなたにはやっぱり何か願い事があるんですよ」
「自分の都合のいい方に話を持っていきやがって」
「ふぉんふぁふぉふぉふぁふぃふぇふ!」
 悪魔はトーストを食いちぎりながら言った。
「ごくん。あのですね、船というのは出発のメタファーなんです。あなたはこれからどこかへいこうとしてるんですよ。きっとそうです」
「はいはい」
 俺はカバンを手に取った。
「学校ですか」
「月曜だからな。ていうかお前も早く着替えろ」
 この悪魔も、半年前から俺の高校に通っている。細かい書類とかは全部紅蓮がやってくれた。さすが天才少女、なんでもやってくれる。
 レイシスはパジャマ姿のまま「ふぁーあ」とあくびをする。
「二限から出ます」
「べつにいいけど留年するぞ」
「いきます!」
 パタパタと紅蓮の部屋へ入っていく悪魔。二秒くらいで洗濯機で洗われたようにくたびれた女子高生が出てきた。ただし金髪。眼が群青色でなければ、ただのアホなJKだと思うところだ。それにしてはチビっこいが。
「いきますよ鈴木さん。学校は勉強するところです。遅刻したらいけません」
「へいへい」
 いつものよーにワケわからんエネルギーだか義務感だかに突き動かされた悪魔に従って、俺も家を出た。

 ○

 俺はふよふよと浮かぶ悪魔と一緒に登校する。
 周囲の視線はもう全然気にならない。みんなすっかり慣れたのだ。
「今日も平和ですねぇー」
 悪魔が蒼穹を見上げながらぼやいた。まァ悪魔にとっては今にも落ちてきそうな青空なんて、辛気臭いものなのかもしれない。
「平和が一番だ。焼夷弾なんか降ってきたらオチオチ学校もいけねーよ」
「それはそうですけど。ていうかそんなもの落ちてくることあるんですか」
「戦争ってものがあってな……」
 俺は人間の醜さを悪魔に説明した。悪魔は不思議そうだった。
「それって何か楽しいんですか?」
「楽しくないよ。でも人間は、誰かより自分が上じゃないと安心できない生き物だからね」
「そーなんですかー。鈴木さんも大変ですね」
「おいそれは俺がスクールカースト最底辺と言いたいのか?」
 まったく失礼なやつだぜ。俺の高校は、というか俺の地域はいじめとか不登校がないのが売りなのに。
 もうイジメって時代でもないよな。ほんと。
 そんなことしても、ロクな明日なんて来ねーんだから。
「人間というのは不思議な生き物ですねぇ」
 空飛ぶ女子高生は、半年人間界で暮らしても、やたらとなにかに感心する癖をやめない。

 ○

 授業が始まると、悪魔は退屈そうにする。悪魔にも興味が湧かないものはあるらしい。
 俺はぼーっと頬杖を突いて、そんな悪魔を眺めている。
 今朝の会話をぼんやりと思い出した。
 スクールカーストかー。
 悪魔にはああ言ったが、すっかり高梨とも疎遠になったし、べつに他に仲いいやつってのもそれほどいないし、最底辺っちゃ最底辺かもなー。
 まァいいけど。
 その代わり、べつに誰かに眼をつけられてるわけじゃないし。
 このままだらだらすごして、テキトーな大学にいって、それなりのところに就職できたらいいなー。ぐらいに思ってる。
 悪魔にお願いなんてしなくても、それぐらい叶ってもよくね?
 大した願いじゃないはずだ。大した願いじゃ……
「ぐー」
 俺はやっぱり寝てしまった。
 留年するのは俺かもなあ。

 ○

「お前も悩んでいるんだな、ナル」
 紅蓮が哀れそうに言った。うるせー、と俺は答えた。
 ここは紅蓮が所属する自由活動部の部室だ。活動内容自由。なんでもあり。バーリトゥード。だから紅蓮みたいな変人がタムロする羽目になる。
 俺は学校から直帰してもやることがないので、カップ麺くらいは作らせてくれる自由部に時々お邪魔している。当然、悪魔も俺にまとわりついてきている。
「元気出せ。お前の人生はあんまり面白くないかもしれないが、悪魔に魂なんか売ると、ロクなことにならないぞ」
「なんてことを!」
 俺の背後でぶうぶう悪魔が文句を言っている。
「魂なんて、みんなが思ってるほど大事なものじゃないですよ。べつに具合悪くなったりとかしないし。ちょっといつも眠くなるとか、それぐらいですよ」
「いまより眠くなったら、起きてらんねーよ」
「じゃあ鈴木さんは、もう魂をなくしてるんですね」
 うわあ。
 なんか、グサッと来た。
 へこむわあ。
「……どーでもいいだろ。俺はいまのままでいいんだ。何も起こらない今が」
「ふうん」
 悪魔がテーブルの上の茶菓子をポリポリ食っている。
「そんなにいいもんですかねえ、平和って」
「どっからどう見てもピースをエンジョイしているやつが何を言ってんだ」
「だって、全然鈴木さん、幸せそうじゃないですよ?」
 はあ、と俺はため息をついた。
「まったくこれだから人外は。そーゆー簡単な話じゃねーんだよ。俺はな、何も起こらないってことも幸せなんだって知ってるだけなの」
「最近流行の灰色のなんとかですか」
「それならそれでいーよもう。大きな幸せなんか、あればあったで邪魔になるんだ。そーだろ? 世の中、勝ち組が本当に幸せなんだったら、もうちょっといろいろ潤ってるよ。いくら派手に勝ったって、どうせ次の戦いが待ってるだけだ」
「至言だな、ナル」
 興味深そうに紅蓮が、紅茶を啜りながら、義弟のセリフを聞いている。
「うるせーバカ」
「うーん、もしそうだとしたら」
 ぷらぷらと悪魔は足を振っている。
「私はあんまり、ここへ来た意味がないですね」
 その横顔はちょっと寂しそうだった。
 罪悪感が思わず湧いたが、仕方ない。
 だって、俺にどーしろって言うの?
 望みなんて、本当に何もないんだからさ。

 ○

 最近、俺はソーシャルゲームにハマっている。授業の合間にポチポチと探索して、アイテムをゲットする。ちょっと時間のかかるオンラインの戦争に参加したり(難しい操作なんてなにもなく、参加を登録して結果を待つだけ)、初心者のソロ向けのギルドに加盟したりして、わりと楽しんでいる。
 それを見ると悪魔はいつも「うげっ」と爬虫類でも見たような顔をする。
「人間ってわかりません。そんなもののどこが楽しいんですか?」
「バカにしちゃいけないよ。これが生き甲斐の人もいるんだから」
「それはそうかもしれませんけど……でも、ボタン押してるだけじゃないですか」
「ボタン押す以上のことが、俺らにはもうできないんだよ」
 ポチポチ。
「ほら見ろ。やったぜ。シークレットレアだ」
「鈴木さん……」悪魔は気の毒そうだ。
「ただの画像ですよ? それ」
「ばかやろー。絵師さんが一生懸命描いてくださったものをただの画像だなんて、お前はなんて失礼なやろーなんだ」
「う、すみません……」
 なんとなく押されて、しょげる悪魔。
「でも、人間はそんなのが楽しいんですね」
「まじめにやってれば損はしないからな」
 ポチポチ。
「それに時間の合間合間にやれば、待ち時間なくスムーズにプレイできるし。よくできてるよ。これで好きなだけ遊べたら延々とやっちまうけど、ちゃんと区切りがあるのがいい」
「ふーん……」
「学校とか会社とか、まじめに社会に参加してれば、待ち時間はないようなもんだしな。得した気分になるぜ」
「それって、自分が人生を損してる時間と同じなんじゃないですか?」
「まったく君は意味がわからないことばかり言うねえ」
 ポチポチ。

 ○

「ほら、鈴木さん。こんなの持ってきましたよ」
 俺はスマホから顔をあげた。見ると悪魔が何かヘルメットのようなものを持っている。
「なんだそれ」
「これはですね、魔界の道具です」
「へぇー」
「興味興味」
「いや、なんか胡散臭いし」
 スマホの画面に戻ろうとする俺を悪魔はぐいぐい引っ張った。
「ねーえー。そんなのやってないでこれ被ってくださいよ」
「ヤダ。なんか電流とか流れそう」
「そんなわけないじゃないですか! あなた私をなんだと思ってるんです?」
「邪悪の化身」
「よくわかってますね……って違う! いまはそういうことを言ってるんじゃなーい!」
 ふーふーとアラシを吹く悪魔。
「いいですか、このスグレモノはですね、なんと……」
「なんと?」
「……ファンタジー世界へ入っていける、魔法の道具なのです!」
「ふーん」
「興味興味」
「いや、そういうの、絶対なんかタチの悪いオチが待ってるんでしょ? 作者の人格を疑うよーな。やめてよね。俺、ハッピーエンド至上主義者なんだ」
「大丈夫ですって。これは私からの、灰色の人生を送る鈴木さんへのせめてもの餞なんです」
「その言い方だと、俺、死ぬよね」
「大丈夫ですってば! 死んだりしませんよぅ。私もついていきますから」
 悪魔は窓の外を見た。
「十月って、なんにもなくて退屈じゃないですか。キルタイムしましょーよ」
「まァ、ちょっとだけならやってもいいか」
 ソシャゲの待ち時間もたっぷり残ってるところだし。
「貸してみ」
「鈴木さん……!」
「ちょっとやるだけだぞ」
「ええ、かまいません! ささ、どうぞどうぞ」
 悪魔は俺の髪をなぜか梳ってから、ヘルメットをかぶせてきた。
 ばしゅううううううううん…………
 黒い光の中に俺は吸い込まれて、落ちた。
 闇はどこまでも深く、俺は何と暮らしていたのか、その時初めてわかった。